Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)は、AWSが提供するスケーラブルでカスタマイズ可能な仮想サーバー(インスタンス)サービスです。ユーザーは、必要なリソースを選び、任意の時間にサーバーを作成・削除できます。柔軟なスケーリング、様々なインスタンスタイプ、そして高度なセキュリティ機能により、Amazon EC2は世界中の企業や開発者に広く利用されています。
Amazon EC2を利用すべきケース
- スケーラブルなウェブアプリケーションのホスティング
- EC2は、アクセス量が変動するウェブアプリケーションのホスティングに最適です。たとえば、ECサイトやソーシャルメディアプラットフォームは、トラフィックの増加に伴ってスケールアップが必要になることが多いため、EC2のオートスケーリング機能を利用して、瞬時にインスタンスを増減させることが可能です。
- ビッグデータ処理や機械学習のワークロード
- 大量のデータを処理する場合や、機械学習モデルのトレーニングには、強力な計算リソースが求められます。EC2は、高性能なGPUやCPUを搭載したインスタンスタイプ(P3、G4dn、C6gなど)を提供し、ビッグデータ分析やディープラーニングワークロードの実行に最適です。
- オンデマンドでのテスト・開発環境の構築
- 開発者は、テストやデバッグのために一時的なサーバーを必要とすることがあります。EC2は、短時間の利用でも料金が従量課金制であるため、開発プロジェクトに対して費用対効果が高く、特定の環境に合わせた開発環境の構築が容易です。
- 災害復旧のバックアップシステム
- 企業は、EC2を活用してバックアップシステムや災害復旧環境を構築できます。オンデマンドでリソースを確保し、障害時には迅速に切り替えが可能です。AWSの他のサービス(例: S3、RDS)と組み合わせて、包括的な災害復旧計画を実施できます。
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Amazon EC2利用時に気を付けるべき制約事項
Amazon EC2を利用する際には、以下の制約事項に注意する必要があります。
- インスタンスの停止・削除とデータの消失リスク
- EC2インスタンスを停止または削除すると、インスタンス内のデータが消失するリスクがあります。特にインスタンスストア(インスタンスの一時的なストレージ)を使用している場合、インスタンスの停止でデータが失われることがあるため、永続的なストレージにはEBS(Elastic Block Store)やS3を使用することが推奨されます。
- インスタンスの料金とコスト管理
- EC2は従量課金制であり、利用時間に応じて料金が発生します。オンデマンドインスタンスの利用は便利ですが、長期間の稼働が必要な場合はリザーブドインスタンスやスポットインスタンスの利用を検討することで、コストを抑えることができます。また、不要なインスタンスを停止・削除し忘れると、無駄なコストが発生することがあります。
- セキュリティの確保とアクセス管理
- EC2インスタンスに対するアクセスは、適切なセキュリティグループとIAM(Identity and Access Management)ポリシーを設定する必要があります。SSHアクセスのために適切なセキュリティグループを設定し、公開鍵暗号方式を使用して安全にインスタンスにアクセスすることが推奨されます。
- 可用性とフェイルオーバーの設計
- 単一のEC2インスタンスに依存するシステム設計は、障害発生時にシステム全体がダウンするリスクがあります。AWSの複数のアベイラビリティゾーン(AZ)やリージョンにわたる冗長性の確保、ロードバランシング、オートスケーリングの活用など、可用性を高めるための設計が必要です。
- コンピューティングリソースの最適化
- すべてのインスタンスタイプがすべてのワークロードに最適なわけではありません。計算、メモリ、ストレージ要件に応じたインスタンスタイプの選定が重要です。また、リソースが過剰であれば無駄なコストが発生するため、適切なサイズを選定することがコスト効率を高める鍵となります。
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まとめ
Amazon EC2は、スケーラブルな仮想サーバーを提供し、ウェブアプリケーションのホスティングからビッグデータ処理まで、多様なワークロードに対応します。EC2の柔軟性や豊富なインスタンスタイプにより、さまざまな業界やアプリケーションに最適なソリューションを提供できます。
ただし、インスタンスの停止時のデータ管理やコスト最適化、セキュリティ設定には十分な注意が必要です。AWSの他のサービスと組み合わせて、EC2を効果的に活用することで、高可用性、スケーラビリティ、コスト効率を実現できます。