Javaを使ってプログラミングを始めるためには、まず開発環境を整える必要があります。この章では、Javaの開発に必要なツールのインストール方法から、実際に簡単なプログラムを実行するまでの手順を詳しく解説します。初心者がつまずきやすい部分を丁寧にフォローし、スムーズにプログラミングを始められるようにガイドします。
2.1 JDK(Java Development Kit)とは?
Javaの開発には、JDK(Java Development Kit)と呼ばれる開発キットが必要です。JDKは、以下のようなツールを含む一式のソフトウェアで構成されています。
- Javaコンパイラ(javac): ソースコードをバイトコードに変換するためのツールです。
- Java仮想マシン(JVM): バイトコードを実行するための仮想マシンです。これにより、プログラムはさまざまなOSで動作します。
- Javaクラスライブラリ: Javaの標準機能を提供するクラス群です。
このJDKをインストールすることで、Javaプログラムの開発、コンパイル、実行が可能になります。
2.2 JDKのインストール
ステップ1: JDKのダウンロード
まず、Javaの公式サイトからJDKをダウンロードする必要があります。Oracleが提供している最新のJDKをダウンロードするためには、以下の手順を実行してください。
- Oracleの公式サイトにアクセスします。
- 自分のOS(Windows、Mac、Linux)に対応したJDKを選択し、ダウンロードリンクをクリックします。
- 利用規約に同意し、ダウンロードを開始します。
ステップ2: JDKのインストール
ダウンロードが完了したら、次はJDKをインストールします。以下の手順に従ってインストールを行います。
Windowsの場合:
- ダウンロードしたインストーラーを実行します。
- インストーラーの指示に従い、インストールディレクトリを確認してインストールを完了します。
- インストールが完了すると、JDKのパスが自動的に設定されます。
Macの場合:
- ダウンロードした
.dmg
ファイルを開き、インストーラーを実行します。 - 指示に従ってインストールを進めます。
- Macの
/Library/Java/JavaVirtualMachines
にJDKがインストールされます。
ステップ3: 環境変数の設定(Windowsのみ)
Windows環境では、JDKを正常に動作させるために「環境変数」を設定する必要があります。以下の手順で設定を行います。
- コントロールパネルを開き、「システムとセキュリティ」から「システム」を選択します。
- 「システムの詳細設定」をクリックし、「環境変数」を選択します。
- 「システム環境変数」の中から
Path
を選択し、「編集」をクリックします。 - JDKがインストールされているディレクトリ(例:
C:\Program Files\Java\jdk-17\bin
)を追加します。 - 「OK」をクリックして設定を保存します。
これで、コマンドプロンプトからjava
やjavac
コマンドを実行できるようになります。
2.3 IDE(統合開発環境)のセットアップ
Javaのプログラムを開発する際には、IDE(Integrated Development Environment)と呼ばれる統合開発環境を使用すると便利です。IDEは、プログラムの編集、コンパイル、デバッグ、実行を一つのツール上で行うことができるため、非常に効率的です。
ここでは、Java開発でよく使われる2つの主要なIDEであるEclipseとIntelliJ IDEAのセットアップ手順を紹介します。
Eclipseのセットアップ
- Pleiades All in One Eclipse ダウンロード にアクセスし、「Windows x64」または「Mac ARM」のjavaまたはをダウンロードします。(Ultimateでも良いです)
- ダウンロードしたファイルを実行してインストールを進めます。
- インストールが完了したら、Eclipseを起動し、作業用ディレクトリ(ワークスペース)を指定します。
- 「New Project」を選択し、「Java Project」を作成します。
これで、Eclipse上でJavaのプログラムを書く準備が整いました。
IntelliJ IDEAのセットアップ
- JetBrainsの公式サイトからIntelliJ IDEAをダウンロードします。無償版のIntelliJ IDEA Community Editionを選択します。
- ダウンロードしたインストーラーを実行し、指示に従ってインストールを進めます。
- インストールが完了したら、IntelliJ IDEAを起動し、「New Project」を選択してJavaプロジェクトを作成します。
IntelliJ IDEAは直感的で使いやすく、特にJava初心者には非常におすすめのIDEです。
2.4 最初のJavaプログラムを書く
Javaの開発環境が整ったところで、実際に簡単なプログラムを書いてみましょう。ここでは、プログラミングの定番である「Hello, World!」プログラムを作成します。
Hello, World! プログラムのコード
public class HelloWorld {
public static void main(String[] args) {
System.out.println("Hello, World!");
}
}
コードの解説
public class HelloWorld
: これはJavaのクラス定義です。HelloWorld
という名前のクラスを作成しています。public static void main(String[] args)
: これはJavaプログラムのエントリーポイントとなるメソッドです。プログラムの実行はこのmain
メソッドから始まります。System.out.println("Hello, World!");
: この行は、標準出力に「Hello, World!」という文字列を表示する命令です。
Eclipseでの実行方法
- Eclipseで新しいJavaプロジェクトを作成し、その中に新しいクラスを追加します。
- クラス名を
HelloWorld
とし、上記のコードを入力します。 - メインメソッドの中に
System.out.println
を追加して、「Hello, World!」を表示させます。 - クラスファイルを保存したら、右クリックして「Run As」→「Java Application」を選択して実行します。
IntelliJ IDEAでの実行方法
- IntelliJ IDEAで新しいプロジェクトを作成し、クラスファイルを追加します。
HelloWorld
というクラスを作成し、コードを入力します。- 画面上部にある「再生ボタン(Run)」をクリックしてプログラムを実行します。
実行結果として、コンソールに「Hello, World!」と表示されれば成功です!
2.5 Javaプログラムのコンパイルと実行(コマンドラインでの手順)
Javaのプログラムは、IDEを使わずにコマンドラインから直接コンパイルして実行することも可能です。ここでは、コマンドラインを使った手順も説明します。
ステップ1: コードを書く
テキストエディタ(例: メモ帳やVSCodeなど)を使って、以下のコードをHelloWorld.java
という名前で保存します。
public class HelloWorld {
public static void main(String[] args) {
System.out.println("Hello, World!");
}
}
ステップ2: コンパイル
保存したファイルがあるディレクトリに移動し、以下のコマンドを使ってコンパイルします。
javac HelloWorld.java
javac
コマンドは、Javaコンパイラを呼び出してソースコードをバイトコードに変換します。コンパイルが成功すると、HelloWorld.class
というファイルが作成されます。
ステップ3: 実行
次に、java
コマンドを使って、コンパイルされたプログラムを実行します。
java HelloWorld
これで、コンソールに「Hello, World!」と表示されるはずです。無事に表示された場合、開発環境は正しく整っており、Javaプログラムを実行できる状態になっています。
2.6 よくあるトラブルシューティング
初心者がJavaの開発環境をセットアップする際に、よく遭遇する問題とその解決方法についても触れておきます。
1. javacコマンドが見つからない
エラー: javac is not recognized as an internal or external command, operable program or batch file.
原因: JDKのパスが環境変数に設定されていないことが原因です。
解決方法: 環境変数にJDKのbin
ディレクトリへのパスを追加してください(Windowsの場合)。前述の「環境変数の設定(Windowsのみ)」の手順を参考にしてください。
2. プログラムが正しくコンパイルされない
原因: Javaのコードにミスがある場合や、ファイル名がクラス名と一致していない場合があります。
解決方法: エラーメッセージを確認し、コードの誤りを修正します。また、Javaのクラス名はファイル名と一致している必要があるため、クラス名とファイル名が一致しているか確認してください。