AWS Lambdaは、AWSが提供するサーバーレスコンピューティングサービスで、インフラストラクチャの管理を必要とせずにコードを実行できる環境を提供します。ユーザーは、リクエストがトリガーされたときにのみコードが実行され、使用したリソースに対してのみ料金が発生します。これにより、効率的なリソース利用とコスト削減が可能です。
AWS Lambdaの主な特徴
- サーバーレスアーキテクチャ
AWS Lambdaは、物理サーバーや仮想サーバーを管理する必要がない「サーバーレス」アーキテクチャを採用しています。コードをアップロードし、特定のイベント(例: HTTPリクエスト、S3オブジェクトの作成、DynamoDBの変更など)が発生したときに自動的に実行されます。 - 自動スケーリング
Lambdaは、リクエストに応じて自動的にスケーリングします。必要なだけ同時に実行され、ユーザーがスケーリングを設定する必要はありません。これにより、大量のトラフィックが突然発生しても、Lambdaはそれに対応します。 - コスト効率
Lambdaの料金は、コードの実行時間と使用したリソースに基づいて計算されます。アイドル時間に料金が発生しないため、トラフィックの変動が大きいアプリケーションに対して非常にコスト効率が高いです。
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AWS LambdaとEC2の違い
Amazon EC2 (Elastic Compute Cloud) は、ユーザーが仮想サーバー(インスタンス)をプロビジョニングし、管理することができるサービスです。LambdaとEC2の主な違いは以下の通りです。
- インフラ管理
- Lambda: インフラの管理は不要。AWSがすべてのインフラストラクチャを自動的に管理します。
- EC2: ユーザーがインスタンスをプロビジョニングし、設定、管理する必要があります。これにはOSのアップデートやセキュリティパッチの適用も含まれます。
- スケーリング
- Lambda: リクエストに応じて自動スケーリング。ユーザーが設定を行う必要はなく、無制限にスケールします。
- EC2: スケーリングは手動で設定するか、Auto Scaling機能を使用して設定する必要があります。スケーリング設定によっては、過剰なリソースを使用するリスクがあります。
- 料金モデル
- Lambda: 実行時間とリソース使用量に基づいた従量課金制。アイドル時間には料金が発生しません。
- EC2: インスタンスの稼働時間に対して料金が発生します。長時間実行が必要なワークロードや、常時稼働が必要なアプリケーションには向いています。
- 柔軟性とカスタマイズ
- Lambda: 特定のランタイムや環境設定に依存します。カスタマイズの自由度はEC2に比べて制限されています。
- EC2: 任意のOSやソフトウェアをインストール可能。高度にカスタマイズされた環境が必要な場合に適しています。
AWS Lambda開発時の留意点
AWS Lambdaは非常に便利で強力なサービスですが、いくつかの制約や注意点があります。これらを理解しておくことで、効率的かつ効果的にLambdaを活用できます。
- 実行時間の制限
Lambda関数の最大実行時間は15分です。長時間実行されるタスクには向いていません。長時間の処理が必要な場合は、EC2や他のAWSサービス(Step Functionsなど)の利用を検討する必要があります。 - パッケージサイズの制限
デプロイパッケージのサイズには制限があります。シングルZIPファイルの最大サイズは50MBで、アンパッケージされたサイズは250MBまでです。大規模なライブラリやデータが必要な場合は、S3やEFSを活用する方法があります。 - ステートレス設計
Lambda関数はステートレスで設計されるべきです。つまり、状態を保持しないようにする必要があります。状態管理が必要な場合は、DynamoDBやS3などの外部ストレージを利用します。 - コールドスタート
Lambda関数が長時間呼び出されていないときに発生する「コールドスタート」は、関数の初回実行時に遅延を引き起こす可能性があります。これに対処するためには、定期的な関数のウォームアップやVPCの使用を避けるなどの方法があります。 - 制限されたランタイム環境
Lambdaでサポートされているランタイムは限定的であり、使用できる言語やバージョンが制限されています。また、特定の環境やサーバー設定が必要な場合にはEC2の方が適しています。
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まとめ
AWS Lambdaは、サーバーレスアーキテクチャを採用した効率的なコンピューティングサービスで、リクエストベースの自動スケーリングとコスト効率の高さが特徴です。EC2との違いを理解し、適切なユースケースでLambdaを活用することで、クラウドベースのアプリケーションの開発・運用が容易になります。ただし、開発時にはLambda特有の制約を理解し、それに応じた設計と運用が求められます。
AWS公式サイトのリソースを活用し、Lambdaの機能を最大限に引き出して、効果的なアプリケーションを構築しましょう。