1. ORMとは
ORM(Object-Relational Mapping)は、オブジェクト指向プログラミングとリレーショナルデータベースの間のデータ変換を行う技術です。NestJSでは、ORMライブラリの一つであるTypeORMを使用して、データベースとのやり取りを簡単に行うことができます。
2. TypeORMのインストール
まず、TypeORMとその依存関係をプロジェクトにインストールします。以下のコマンドをターミナルで実行してください。
npm install @nestjs/typeorm typeorm mysql2
ここでは、MySQLを例にしていますが、他のデータベース(PostgreSQL、SQLiteなど)を使用する場合は、それに応じたドライバをインストールしてください。
3. データベース接続の設定
次に、TypeORMを使用してデータベースに接続するための設定を行います。src/app.module.ts
を以下のように編集します。
import { Module } from '@nestjs/common';
import { TypeOrmModule } from '@nestjs/typeorm';
import { AppController } from './app.controller';
import { AppService } from './app.service';
import { UserController } from './user.controller';
import { UserService } from './user.service';
import { User } from './user.entity';
@Module({
imports: [
TypeOrmModule.forRoot({
type: 'mysql',
host: 'localhost',
port: 3306,
username: 'root',
password: 'password',
database: 'test',
entities: [User],
synchronize: true,
}),
TypeOrmModule.forFeature([User]),
],
controllers: [AppController, UserController],
providers: [AppService, UserService],
})
export class AppModule {}
この設定では、MySQLデータベースに接続し、User
エンティティを使用するように指定しています。また、synchronize: true
を設定することで、エンティティの変更が自動的にデータベースに反映されるようになります。
4. エンティティの作成
次に、データベースのテーブルに対応するエンティティを作成します。src/user.entity.ts
というファイルを新規作成します。
import { Entity, Column, PrimaryGeneratedColumn } from 'typeorm';
@Entity()
export class User {
@PrimaryGeneratedColumn()
id: number;
@Column()
name: string;
@Column()
age: number;
}
このエンティティでは、User
テーブルの構造を定義しています。@Entity()
デコレーターは、このクラスがデータベースのテーブルに対応することを示します。
5. サービスの更新
次に、ユーザー管理のためのサービスを更新します。src/user.service.ts
を以下のように編集します。
import { Injectable } from '@nestjs/common';
import { InjectRepository } from '@nestjs/typeorm';
import { Repository } from 'typeorm';
import { User } from './user.entity';
@Injectable()
export class UserService {
constructor(
@InjectRepository(User)
private userRepository: Repository<User>,
) {}
create(user: { name: string; age: number }) {
const newUser = this.userRepository.create(user);
return this.userRepository.save(newUser);
}
findAll() {
return this.userRepository.find();
}
findOne(id: number) {
return this.userRepository.findOneBy({ id });
}
}
ここでは、TypeORMのリポジトリを使用して、ユーザーの作成、取得を行っています。@InjectRepository(User)
デコレーターを使用して、User
エンティティに対応するリポジトリを注入しています。
6. コントローラーの更新
コントローラーも、サービスの変更に合わせて更新します。src/user.controller.ts
を以下のように編集します。
import { Controller, Get, Post, Body, Param } from '@nestjs/common';
import { UserService } from './user.service';
@Controller('users')
export class UserController {
constructor(private readonly userService: UserService) {}
@Post()
create(@Body() user: { name: string; age: number }) {
return this.userService.create(user);
}
@Get()
findAll() {
return this.userService.findAll();
}
@Get(':id')
findOne(@Param('id') id: string) {
return this.userService.findOne(+id);
}
}
7. データベースのテスト
7.1 データベースのセットアップ
MySQLのデータベースを事前に作成する必要があります。以下のSQLを実行して、test
データベースを作成してください。
CREATE DATABASE test;
7.2 アプリケーションの起動
アプリケーションを再起動します。ターミナルで以下のコマンドを実行してください。
bashコードをコピーするnpm run start
7.3 Postmanでのテスト
Postmanを使用して、データベース操作が正しく機能するかを確認します。
- ユーザーの作成:
POST /users
エンドポイントに対して以下のJSONデータを送信します。jsonコードをコピーする{ "name": "John Doe", "age": 30 }
- すべてのユーザーを取得:
GET /users
エンドポイントにアクセスすると、作成したユーザーのリストが取得できます。
- 特定のユーザーを取得:
GET /users/1
エンドポイントにアクセスすると、IDが1のユーザーが取得できます。
8. データベース操作の詳細
8.1 CRUD操作の実装
TypeORMを使用すると、簡単にCRUD(Create, Read, Update, Delete)操作を実装できます。
8.1.1 ユーザーの更新
ユーザーを更新するためのメソッドをUserService
に追加します。
update(id: number, user: { name?: string; age?: number }) {
return this.userRepository.update(id, user);
}
これをコントローラーに追加します。
@Patch(':id')
update(@Param('id') id: string, @Body() user: { name?: string; age?: number }) {
return this.userService.update(+id, user);
}
8.1.2 ユーザーの削除
ユーザーを削除するためのメソッドも追加します。
remove(id: number) {
return this.userRepository.delete(id);
}
コントローラーに以下を追加します。
@Delete(':id')
remove(@Param('id') id: string) {
return this.userService.remove(+id);
}
9. エラーハンドリング
エラーハンドリングは、APIを構築する上で非常に重要です。NestJSでは、HTTP例外を使用して、簡単にエラーハンドリングを実装できます。次のようにエラーハンドリングを追加できます。
import { NotFoundException } from '@nestjs/common';
findOne(id: number) {
const user = this.userRepository.findOneBy({ id });
if (!user) {
throw new NotFoundException(`User with id ${id} not found`);
}
return user;
}
このようにして、ユーザーが見つからない場合に404エラーを返すように設定できます。
10. まとめ
この章では、NestJSでのデータベース接続とORMの使用方法について詳しく解説しました。TypeORMを使用してデータベースのCRUD操作を実装し、エラーハンドリングについても学びました。